【白い思い出と紅い約束】三・再会(4)【小説】

2014.06.21 22:08|【約束】小説
「白い思い出と紅い約束」

三、再会(4)

 ラトゥニという大きな町に着いた。ここで仲間と落ち合う約束をしている。
 待ち合わせに指定している場所は町でも人気のある食堂だった。
「コハクテ? コハクテェー?」
「そうだ。俺たちの仲間の店……マスターがミタールの町出身なんだ」
 店主は二人の訪問を歓迎してくれた。店に仲間を匿ってくれることもあるようだった。
 先に到着していた仲間とは入れ違いになっていた。休まずに先に首都に向かったという。若い奴は待つことを知らない……トオルがぼやいた。若い奴だけじゃないな、とトオルは付け加え、溜め息をついた。
「とりあえずは、あいつを待つしかないか」
「あいつ?」
「俺の後輩だ。頭は切れるんだが口は悪い。でも、性格は悪くないから心配するな」
「口、悪いんだ」
 心配そうにヒナが呟いた。

 食事処・琥珀亭。
 夕食時で賑わう店内。客も多く、店主の他に店主の妻、雇いの店員達も忙しそうに動き回る。
 トオルは店の一番奥、壁際の隅のテーブルに腰掛け、食事をとっていた。
 混雑する店の中に、女が一人、店に入って来る。女はトオルのテーブルの前に立った。黒いパンツスーツ姿の小柄な若い女。肩に大きなバッグをかけ、背には細長い袋を背負っていた。
「お疲れっす。先輩」
 パーマがかかった栗色の髪の長さは肩の下、肩甲骨くらいまであるが、今は一つに束ねていた。目尻が上がり気味のアーモンド形の目。大きな茶の瞳。猫のような印象だ。
「お疲れ。先にやってるぞ」
 トオルの後輩のマリだ。彼女とは、この食堂で落ち合う手筈だった。
 四人掛けのテーブル。マリはトオルの前に座る。隣の空いた席に重い荷物をドスンと置いた。
「先輩のおいしそうっすね。ん~じゃ~、私も同じのにしよっかな」
 マリは体をひねって、後ろを歩く店員に気さくに声を掛け、トオルと同じメニューを注文する。追加で酒も。
 注文してからトオルに向き直った。
「……あのぉ、先輩」
「ん? なんだ?」
 言いにくそうにしているマリを、トオルがグラスを手に促した。
「先輩の横にいる人はなんなんですか? 新しい……オンナ?」
「こいつはヒナっていうんだ。ま、気にするな」
 困惑するマリ。笑みを浮かべたヒナは興味津々の様子でマリを見ている。食事にはほとんど手を付けていなかった。
「ちょ……先輩! 気にするなって言われて気にしない人なんていないでしょーが! あの冷酷非道で有名な先輩が、オンナの人と食事してるなんて、なんか悪いことの前触れみたい。……腕組んでるし」
 眉間にしわを寄せながら、マリはトオルのグラスに酒を注ぐ。
 季節外れのノースリーブのワンピースの娘は、普段着のトオルの腕に白い手を絡ませていた。トオルも気にした様子もなかった。マリが初めて見るトオルの姿だった。
「俺だって女を連れて歩くこともあるさ」
「あるだろうけど、けどさぁ~! なんかなぁ~なんか違うんだよなぁ~」
「ま、あとは宿ででも、な?」
 トオルが声を低くして言った。「わかりました」とマリは黙る。この喧騒の中でも話せないことがあるのだろう。トオルとマリは冗談を言い合いつつ、食事を進めた。
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コメント

二人の会話から

二人の関係(軍での立ち位置)が伺えます(^ヮ^)
口もまだ悪くない…いや、そういったのも二人の距離感からなのかな?

あとマリちゃん、ヒナちゃんと気があいそうな♪

毎回、次が楽しみで仕方ないです(^艸^)

freilさん

コメントありがとうございます(*´ω`*)

ようやく来てくれたよこの子・・・!マリ!あいしてるよー(*´з`)←
この子がいないと動かない物語www

どうしてもトオルヒナの二人だと動かないんで、アクセルになる子を投入したのですw
ある意味、二人のブレーキにもなってくれてるのですが・・・。
(初期のころは二人では動いてくれないかったのです)
口が悪いと書いたけれど、辛口というか一言多い系ですw

いいな~こんな後輩
いい意味で先輩後輩を気にすることなく(って言うと悪く聞こえそうだけど)何でもいえる関係

気にするなって言うけど
マリちゃんじゃなくとも、トオルの事を知ってる人が見たら気にするでしょうww
かわいい子が腕にずっと手を絡めてたら

いつものことだって思わなくもないのか?ほかの仲間なら

荒ぶるプリンさん

コメントありがとうございます(*´ω`*)
マリは嘘付けないさっぱりした性格でなのでトオルと合うんです。
異性なのでその間にはいろいろとあれなんですけどw信頼する後輩なんですw

ヒナがあまりにも「トオルの女ならばこうひう人・・・」っていう想像からかけ離れているんです。
もしも化粧バリバリのセクシー系な女性と居たらまだわかるけど、って感じです(;'∀')


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