【白い思い出と紅い約束】四、月下(1)【小説】

2014.07.08 09:07|【約束】小説
「白い思い出と紅い約束」

四、月下(1)

「トオルは何を持ってるの? マリが持ってきたながーいの、何?」
 街道を歩きながら、ヒナはトオルが背負っている細長い袋を引っ張った。その袋はマリが背負ってきたものだった。
「これか? 一応釣り道具だ」
 しがみ付いているトオルの顔を見上げ、袋を見、そして横を歩くマリを見た。
「釣り道具? 釣るの? 何、釣るの? ヒト?」
「人釣ってどーすんのよ!」
「だってマリ、オトコ釣るんでしょ?」
「あれは違うって!」
「でも、マリ言ったよ?」
 真剣な眼差しで自分を見つめるヒナに、マリが溜め息をついた。
「あんたねぇ……釣りで釣るのは魚だよ! さ、か、な!」
「さかな?」
 呆れながらもマリはヒナに「釣り」について説明する。
「釣り道具だけじゃない。刀が入っているんだ。刀をそのまま持ち歩いていたら捕まるからな。カモフラージュだ」
「トオルつかまっちゃ、やだ! 気をつけてね」
 真剣な顔でヒナが心配してきたので、「わかった」とトオルが軽くヒナの頭を撫でてやる。するとヒナはトオルの腕を離し、嬉しそうに二人の前を走って行った。
「思い出すな。あいつを見てると」
 横を歩いていたマリが、トオルの顔を見上げる。
「……何をですか? 先輩」
「死んだ妹を、ちょっとな」
 マリは初耳だった。トオルに妹がいたことなど知らなかった。
「先輩の妹さん、おいくつだったんですか」
「俺が十三、四の時に死んだから、四歳くらいだったかな」
 マリの記憶ではトオルは二十八歳の筈なので、十五年ほど前の事だろうか。マリはトオルの八歳下。ヒナは不明。訊く気もなかった。
「よ、四……ヒナ……を見てですか。あ! いぇ、すみません」
 慌てて謝るマリに、トオルは気にしなくて良いと笑った。
「もうほとんど憶えていないが、あんな感じだった気がしてな。あいつは一体何だろう。頭の中がガキなんだろうな」
「……ん~まぁ、子どものように純粋なんですよ」
 ヒナは楽しそうに二人の前を歩いている。丈の短い淡い色のワンピースに無骨なトオルのぶかぶかの上着。たまに嬉しそうに上着に顔を擦り付けている。その様子を眺めながら、マリが横を歩くトオルの顔を見上げた。
「そういえば、先輩」
「ん、何だ?」
 トオルはマリの歩調に合わせていた。
「いつも豪華なホテルに泊まってばっかりで、お金かかりすぎじゃないっすか? 大丈夫なんすか? 軍資金」
 ミタールの町は裕福ではない。駐在している軍の人間にも、町にも余裕があるとは考えられなかった。
「俺の方で出しているから大丈夫だ」
「え! 先輩、自腹切っていたんですか? ――気にはなっていたんですけれど、ずっとすみません。あと、ありがとうございます」
「気にするな。どうせ使い道の無い金だ。それにマリたちを変な場所に泊めさせられないしな」
 トオルが軽く笑う横で、腕を組みながらマリは眉間にしわを寄せて唸った。
(ってことは……ヒナは先輩に服を買ってもらってるんだ。ちょい、っていうか、かなり羨ましいんだけど――!)
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コメント

おおっ!( ゚Д゚)

マリさんの「男を釣る」というセリフ、釣竿に武器を隠してヒナちゃんに突っ込まれるマリさん…なにげないセリフがちゃんと続いてる!!
考えられてますね…すごーい(;・∀・)

最初のマリとヒナちゃんのやり取りがコントにみえて
仕方がないwww

妹さんはきっとすごいおにいちゃん子
だったんでしょうね
今考えると、初日くらいの布団に一緒に寝るの嫌がったのは嫌でも妹に重なってつらかったからかな

なんて思えちゃいますね
口には出さないでしょうが

マリの嫉妬がww笑っちゃいかんのだろうが
笑ってしまいます

freilさん

コメントありがとうございます(*´ω`*)

検問でも、釣りもできないのになんで釣竿持ってるの?だったと思うのですw
だから男釣るって言って話を盛り上げてしまったマリw

ヒナはいつでも真面目ですw
いろいろな言葉を憶えていますw
ふと思い出したように真剣に訊いてきますw


マリはとりあえず男ゲットして帰りたいんですw

荒ぶるプリンさん

コメントありがとうございます(●´ω`●)

初日は本当にうざったらしかったんだと思いますwww
お前なんでくっついてくるんだとw

ちょいちょいマリがジェラシーでやきもきなんですが、
空回りとかいろいろでマリとヒナでこんなかんじで言い合い?をしていきますw
結局ふたりは仲がいいんですよね(●´ω`●)
女同士だからそれだけではないのだろうけれど・・・
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