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2017-04

【白い思い出と紅い約束】五、羽根(2)【小説】 - 2014.09.16 Tue

「白い思い出と紅い約束」

五、羽根(2)





 今日はマリが宿をとる。トオルとは別行動だったが、宿は最初から決めていたので、滞りなく後から来るだろう。
 夕刻になってもこの町では外灯が灯らなかった。ホテルのフロントでは、夜は停電すると説明を受けて、蝋燭とマッチを手渡された。
「この町でも? ニフリートに近いのに?」
 マリが驚くとホテルマンは申し訳なさそうな笑顔を浮かべて謝罪した。
「そうなんです。格別何がある町でもないんで、役に立たないって思われてるんでしょうね。お金も資源もない町ですし」
「困りますよね~」と、ホテルマンとマリの声が合ってしまい、二人は失笑する。

 二人は同じ部屋に入った。マリは着ていたジャケットを脱ぎ、椅子に投げる。ワンピースも勢いよく脱ぎ、それも椅子の上に投げた。シャツに短パン姿になり、おろしていた髪を束ねる。背伸びをしてから勢い良くベッドに飛び乗り、カバンの中身を出し始めた。
「何、してるの?」
 ドアの前に立っていたヒナが、興味津々でマリの元に近付いてくる。
「触らないで! って、言おうとしたけどやーめた。荷物の整理するんだ」
 ヒナはマリが荷物を広げているベッドに腰掛け、そっとカバンの中を覗いた。……トオルのカバンの中より汚い、ヒナは思ったが、口には出さなかった。服も非常食も全てがぐちゃぐちゃに入っていた。カバンの中の服を見て、ヒナが首を傾げる。
「マリは、どうして服短いの? 靴も歩きにくそう。どうして?」
 旅に不便なパンプスに丈の短いワンピース、スカート姿のマリ。野宿の際は相当不便そうだった。そのことがヒナも気になっていたようだ。
「いーじゃない。あんただってそうでしょ?」
 ヒナは自分の服を見下ろした。ブーツ、ワンピースにトオルの上着……ヒナがしょんぼりとする。確かにマリと変わらない服装だった。
「だって飛ぶ時、邪魔になるから。それに、トオルが買ってくれたから……」
 申し訳なさそうに話すヒナを見つつ、手を顎に当てて、マリが唸る。
「やっぱり先輩はそういう好みで間違いないか……」
 何気なく呟いたマリの独り言を、ヒナは聞き逃さなかった。
「コノミ、ってなに? 間違いない、って?」
「何でもない! 私は情報収集するの! それなのに重装備で歩いていたら、いかにも何かしますって感じでしょ? だからカモフラージュ、ってやつ! 先輩の刀と同じ!」
「そうなんだー」
 赤面し、怒ったようにまくし立てたマリの強引な言い訳。そんな言い訳だが、簡単にヒナが納得してくれたので、マリは安堵の溜め息をついた。
 そのカバンの中には銃も無造作に入っていた。
「何で二人とも、いつも銃を身につけてないの? 使いたいときに使えなく、ない?」
 ヒナの質問にマリは唸る。
「銃はさ、襲撃の時に使う予定。鉄とか不足してるし。ま、鉱山はあるけど、うちらの住んでるトコは、鉄とか鉛はとれないからね。その代わり、ナイフとかは体に装備してるんだよ」
 マリは短パンの裾をちらりとめくった。健康的な引き締まった太ももにベルトがしてあり、小さなナイフが何本か装備されていた。
 カバンの奥には、刃渡り三十センチ位の、鍔のない刀も入っている。
「これは?」
 ヒナの問いに、マリは刀を手にしてヒナに笑いかけた。
「あ、何かあった時のために、みんな持ってるんだよ。先輩はいつも装備してるよね。あと、先輩は長い刀も持ってたでしょ? 私が運んできたやつね。私は重いの嫌だから持ってないけど」
 偉そうに言った後、マリは横を向いてぼそっと追加する。
「嫌と言うか使えないと言うか、なんだけどねぇ……」
「ふぅん」
 ヒナは無関心な様子で、その刀を見ていた。

 トオルが戻ってくると、マリはヒナをトオルに押しつけ、自室のドアを閉めた。ヒナはトオルにくっついて隣の部屋に入ろうとした。
 その際、足元に落ちた物を見て、トオルが呟いた。
「……ヒナ、羽根が」
 羽根が一枚、床に落ちていた。トオルがしゃがんで拾った。
「どうしたんだろ?」
 ただ不思議そうな表情を浮かべつつヒナは首を傾げる。
「羽根の生え変わりの時期か?」
 トオルの問いに、ヒナが首を振る。
「他でも落としてないか?」
 ヒナの目を見つめ、優しく問い掛けるトオルの眼差しは心配そうだ。
「今まで、気付かなかった……」
 トオルから目を逸らし、申し訳なさそうに俯くヒナ。その両肩に、元気付けるようにトオルが手を載せた。
「これから気を付けよう、な?」
 ヒナは黙って頷いた。
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● COMMENT ●

終わり方が上手いです(^ヮ^)

ヒナちゃんももうパーティとして馴染みましたね♪
何よりトオルさんがすごく柔らかくなったと思います(^艸^)ヒナちゃんのオーラなんでしょうね♪

結衣さんの文の終わらせ方は毎回すごいと思います。
「えーそれって何かに繋がるの!?早く次が読みたい!」と思っちゃいます。
途中途中のその物語の断面のイラストもあるのがすごく読む側に入ってきやすいんですよね♪
これはすごく参考になります♪

羽根…タイトルにもなっているようにストーリーに大きく関わってくるんでしょうか。
でも羽根って絵で描くのが大変ですよねw
微妙にカーブしているところとか、光を通すところとか表現するのが大変だと思います(;∀;)

あー、羽根が落ちてるのが
どおにも複線に見えてしょうがないですww

ただ単に生え変わりとかであって欲しいです

トオルが最初のころの冷たい感じからしたら
そうとう優しくなってきた
初対面のときなら両肩に手を載せて
元気付けたりしなかったろうな多分

ヒナの羽が抜け始めてる、
ただの生え変わりならいいんだけど…
マリの態度から何かありそうな気がしてしまう。

freilさん

コメントありがとうございます(*´ω`*)

トオリュ優しくなりすぎだろうって感じですよねwww
ヒナが四六時中まとわりついているので、何かあればすぐに気付くようになったと言いますか・・・
慣れっておそろしいという感じですw

マリのカバンは汚い。そして一番荷物が重いと思いますw
ヒナの荷物はトオルが持ってるのでヒナは荷物もってないです。
(ヒナの服をたたむトオル・・・どんな光景だろうとw)

象徴するものをタイトルにつけているので(適当でごめんなさい)
羽根はまだそんなには問題ではないんですが・・・
|д゚)

イラストはもっと描きたいものがたくさんあるのですが、時間がかかってしまい・・・
描けないシーンも多くて・・・(あとでまとめて描こうかなとか思います・・・)


羽根は難しいですよね(´・ω・`)
赤い羽根とか見本に描いていたことあります・・・(;´∀`)

荒ぶるプリンさん

コメントありがとうございます(●´ω`●)

伏線でしょうか・・・ただの気まぐれでしょうか・・・
タイトルや、こまごまとした言葉をあまり上手く処理できていないですね(;´∀`)
とりあえず「羽根」です。

トオルはヒナの存在に慣れちゃったんですよねw
なんだかんだとヒナを信頼しているんですよね。
最初だったら「変なものを落として歩くな」って部屋に投げ入れるところだと思いますが・・・
マリがいるからそこまではしないと思うです・・・(;^ω^)

トサカランさん

コメントありがとうございます(*^▽^*)

少しだけ抜け落ちる羽根。マリの嫉妬。能天気で天然のヒナ。
ヒナは自分の翼の事も知らない状態。
面倒見るのが大変そうだけれど、お守り役のようになってきたトオル・・・w


もうトサカランさんに気づかれているんじゃないかと思うんです・・・伏線的なもの
|д゚)ドキドキ


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