【Cry*6】1-2、何も訊かない

2014.09.11 10:50|【Cry*6小説】第1章
「食事」


1-2、何も訊かない

「ごめんね。焦げたシチューなんて。怪我人に出すものじゃないよね」
 うっかり気を失っちゃって、とリルは笑おうとしたが、すぐに肩を落とし、うなだれる。相当落ち込んでいる様子だった。初対面の人に振舞う料理は上手に作りたかったのだろう。
「ありがとう。焦げてても美味しいよ」
 リルと二人、椅子に座り向かい合って食事をとるルアト。椅子にも難なく座れ、体は不自然なほど自然に動いた。
「ありがとう。お世辞でも、嬉しいです」
 照れ隠しでリルが舌を出す。固いパンとシチュー。ルアトの食卓もこんな感じだった。パンを齧りながらリルを見ると、顔色が悪いように感じた。
「疲れているの?」
「……うん、そうなのかな」
「俺の、看病のせい?」
「ち、違う! 違うから。気にしないでください。最近は仕事が、あれで、なのです」
 曖昧な説明だったが「そっか」と納得し、ルアトは視線をテーブルに落とす。こんなに怪我が治っているのだ。何日この子に迷惑をかけたのだろうか。椅子から落ちても起きないくらい疲れさせたのかもしれない。
 視線を上げると心配そうに様子を窺うリルと目が合った。リルは吃驚したのか顔を赤くしている。彼女を安心させようと、行儀悪いがシチューをかきこんだ。
「焦げててもうまい。生きてるんだって、感じる」
「まずさで生きてるんだって、感じたの?」
 本当に美味しいよ、とルアトが笑うと、リルの顔はさらに赤くなり、手にしたスプーンまで落としていた。彼女は人見知りなのだろうと考える。男慣れもしていないのかもしれない。
 そして、ルアトがもう一つ考えていたこと。
「あのさ……リル」
「どうしたの?」
「俺は、なんで生きてたんだろう? 崖から落ちた筈なのに。怪我もほとんどしてないし。奇跡だと思うんだ。君が……助けてくれたんだよね? 」
「えっ、と、うん。あなた……ルアトは木に、丁度木の枝に引っ掛かっていたの。だから怪我、軽く済んだの。それでね、知り合いの薬師さんにお薬をもらったの」
 そうなんだ、とルアトは俯いた。
「どう……したの?」
 不安そうなリルの声がルアトの耳に届く。
「本当はさ、あそこで死んでも良いって思ってたんだけれど」
 そう、と寂しく呟き、リルはごめんなさいと続けた。何があったのか、聞こうとせず、謝罪する少女。
「やっぱり、死にたいなんて思わない。助けてくれて、ありがとう」

 リルは唯一の家族だった祖母が亡くなってから、村の外れのこの小さな小屋に一人で住んでいるらしい。
 部屋も寝室兼食堂のみ。あとは物置の屋根裏に続く階段がある。あと一部屋あるが扉は固く閉ざされていた。
 リルは亡くなった祖母の部屋だと言った。開けるべき時が来るまで扉を開けるつもりはないと話していた。
 玄関のすぐそばにベッドという配置だったが、狭い家で仕方なかったのかもしれないが、リルは冗談なのか倒れこむのにちょうどいい場所、と言っていた。本当はこの場所に長椅子があったらしいのだが、長椅子は階段横に移動している。
 とても申し訳なかったが、一応ルアトが怪我人なのでベッドを使わせてもらっていた。リルは無骨な木の長椅子で毛布にくるまって寝ていた。――本当は年頃の娘の寝床にいることに気恥ずかしさもあったのだが。あまり言うとリルを困らせてしまう。
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コメント

女の子が作ってくれたことに意味があるんだよ
きっとwww見た目じゃないよ(とフォロー)

シチューのこげと生きていく辛さは
似ているから食べてる時に
生きてるって感じたんだねww

荒ぶるプリンさん

コメントありがとうございますm(._.)m

このシーンいまいちですね( ̄▽ ̄;)いらなかったかも。
うう(´;ω;`)

死ぬつもりでいて助かってしまい、必死に看病してくれていた子に対して
感謝してるけれど、気持ちがモヤモヤしてる……
のに、ルアト……食欲あるなぁ。
メンタルと内臓強すぎるでしょと突っ込みたくなってまいますね(;´д`)

>焦げたシチュー

印象的でいいですね。
焦げたシチューが良いのかも。
普通にパンと・・・じゃ、記憶に残らないから。

生き返った最初の食べ物、これぐらいの味付けがピッタリかも。。
そして、物語の最後に、逆に焦げた焦げたシチューを作って、
食べてもらうとか。。

訪問ありがとうございますヽ(≧▽≦)/応援して帰ります。
ポチ全部☆彡 また来ますね。

雫さん

コメントありがとうございます。

焦がれる的な……シチュー(違う)
焦がすことがないような女の子になっていったらと思っています。

こちらこそありがとうございます<(_ _)>
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