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2017-05

【白い思い出と紅い約束】六、紅衣(3)【小説】 - 2015.02.08 Sun

「白い思い出と紅い約束」

六、紅衣(3)



「仄暗い」




 ヒナを背負ってトオルは宿に戻る。華奢なヒナの体は軽かった。
 暗闇に沈む部屋に入り、テーブルの上の蝋燭に火を灯した。その周りだけが仄かに明るくなる。
 靴を脱がし、ヒナの身につけていたショールやアクセサリーを外してやる。ドレスのまま静かにベッドに寝かせた。
「……ねぇ、トオル」
 上着をハンガーに掛けていると、ヒナの声が聞こえた。
「起きていたのか」
「私、ばけもの、かな?」
 ベッドに寝たヒナは、トオルに背を向けていた。
「やっぱりまだ気にしていたのか?」
 ヒナを見やりながら、トオルはネクタイを外した。
「ばけもの。がトオルのそば、にいたら、良くないよ、ね?」
 耳にか細い声が届く。シャツの襟元のボタンを外す。
「化け物でも悪魔でも死神でも、俺は気にしないからな。ヒナも気にするな」
 カフスボタンを外し、テーブルに置く。カチリと硬い音が響いた。静かにトオルはヒナが横になっているベッドに腰掛けた。
「トオル……コウカイしてない?」
「何をだ?」
「いろいろ」
 トオルは横たわるヒナの耳元で囁いた。
「自分に自信を持て。お前は綺麗だ。お前の翼は美しい」
 ヒナが体を動かし仰向けになり、トオルの顔を見た。ヒナの顔には涙が流れた跡があったのが暗闇の中でも分かった。
「……酔ってるよ、トオル」
「そうかもな」
 ベッドの上に乗り、トオルはヒナの上にまたがった。微かにアルコールの匂いがする。
「トオル酔ってる……」
「そうかもな」
 トオルは、何か言おうとして開きかけたヒナの唇を、自分の唇で無理矢理ふさいだ。耳元から首筋に舌を這わせる。ヒナは小さく震えた息をもらし、トオルのシャツの胸元を掴んだ。スリットから出た足を撫でまわしながら、トオルは胸元のリボンを乱暴に外し、胸元に手を入れようとした。
「や……! イヤ!」
 突然ヒナがもがき、悲痛な声で叫んだ。
「ヒナ?」
「……酔って、そういうことされるのこわい! ……怖い!」
 恐怖に震えるヒナ。自分に怯えるヒナを見るのは初めてだった。瞳に涙をためていた。
「トオルは好きだけど、酔ってると、こわい……酔ってる人、怖い!」
「すまん」
 そこでトオルの手は止まる。トオルは体を起こした。ヒナには辛い思い出があったことを、今頃思い出した。
「……悪いことをした」
 涙を拭いながらヒナが半身を起こす。
「ごめんね。ごめんね、トオル」
 トオルはヒナの横に座り、ヒナの華奢な肩に頭を載せるように寄り掛かる。そのまま顔を上げなかった。
「ヒナ。頼むから、このままでいさせてくれ」
「トオル?」
「あそこに連れていったことを後悔している。俺も……お前が悪く言われると、正直辛い」
 ヒナはトオルの頭を抱き、髪を撫でながら微笑んだ。
「ありがと。トオル」

 ヒナはトオルの頬に両手を当て、顔を上げたトオルの唇に自分の唇を重ねた。
 ついばむようなヒナの口づけ。
 慣れない手つきで、懸命にトオルのシャツのボタンを一つずつ外していく。健気なヒナの様子に、トオルの胸は熱くなった。自分の前にいる女を、ただただいとおしいと思った。
 トオルは微笑んで、ヒナの頬を伝った涙を拭ってやり、その手を握る。
「無理はしなくていいぞ」
「無理、じゃないよ。慣れてないだけだもん」
 頬を膨らまし怒るヒナに、トオルは笑みを向ける。
「慣れないことはするな」
 いとしさが込もったトオルの優しい声音に、ヒナは微笑を浮かべたまま目を閉じた。
 薄く開いた桜貝色の唇。上気した頬。トオルは優しく口づけをした。ヒナは華奢な腕を、トオルの逞しい背に回した。トオルはヒナの体をベッドに優しく倒す。掌で優しく白く華奢な背を、足を、腕を撫でた。ヒナの甘い吐息。トオルはヒナを強く強く抱きしめた。
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● COMMENT ●

この記事を見て「あれ?このシーンって火焔の後だったっけ?」(;・∀・)と、自分の記憶力に疑念を抱きましたw
ですよね、6章でしたよね?
この部分、好きなシーンです(^ヮ^)
今までの二人の流れがあって、そしてやっと一つになれたんだって。

freilさん

コメントありがとうございます(*´ω`*)

そうなんです。突然に戻って6章なんです。
ここだけ載せていなかったのです。
意味はあったようななかったような。

紅衣・・・こうい・・・好意・・・行為・・・(;´∀`)

辛かったり悲しかったり楽しかったり嬉しかったり
いろんな出来事があって
やっと2人が結ばれてくれたよ

うへ~顔がにやける^w^

荒ぶるプリンさん

コメントありがとうございます(*´ω`*)

ここだけ載せていなかったのは・・・文章と妄想が情けなかったからですwwwはずかしいwww
今載せてる部分がしんどい状況で、空気読めていない投下でしたが・・・
あの晩に深まった絆があって今の二人なんです。


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