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2017-04

【白い思い出と紅い約束】一二、逃亡(1)【小説】 - 2015.02.20 Fri

「白い思い出と紅い約束」

一二、逃亡(1)



 首都の警備が厳しいため、負傷者は用心してそれぞれ別々の隠れ家に運ばれた。民家の屋根裏に、トオルとヒナは身を潜めることになった。
 ヒナを抱き、車に乗り込んだトオルは、隠れ家の寝床にヒナを横たえると、その場で倒れた。仲間が慌ててトオルに駆け寄り触れると体が熱かった。
 意識を取り戻したヒナは、彼女なりに懸命に看病をする。仲間が薬や服を調達してくれ、怯えつつも礼を言い、それらを受け取った。トオルの傷は打撲がほとんどで、傷は深くはなかったが、疲労のためか熱を出して昼夜うなされた。
 傷に薬を塗り、包帯を変え、汗を拭う。ヒナには苦しむトオルを抱きしめることしか出来なかった。


 トオルは夢を見た。あの時のことだ。
 ひとすくいの血が炎を散らした。ヒナの紅玉髄に輝く瞳が、微笑んでトオルを見た。
「私は、死なない、よ? だから大丈夫」
 力強いヒナの口調に、トオルは頷いた。自力での行動を決意した。シンと目が合うと、察したのか笑顔で力強く頷いてくれた。
 長刀を奪われたトオルは腰に小刀があるだけだった。辺りを見回し、落ちていたナイフを手にしてトオルはドアに走り寄る。耳を当て外の気配を窺う。人の気配はなかった。
「ヒナ! ドアを!」
 頷いたヒナは自分の血を飛ばす。血は炎となり、ドアの鍵はおろか取っ手ごと溶かした。
「シン、他に仲間がいる場所は判るか?」
「はい、何となくなら」
 二人はシンに続いた。警備の人間に気付かれると、トオルは警備員にナイフを投げつつ、素早く走り低い姿勢から蹴りを入れる。よろけた隙に相手の腰から刀を奪い、切り掛かる。
 倒れた者から銃を奪い、ヒナの前に立ち、襲い掛かってくる者達を確実に撃ち殺した。
 ヒナがドアの鍵、もしくはドアごと溶かし、捕われた者達の鎖を外していく。
 動ける仲間達も作戦の遂行に同意し、各々武器を手にした。仲間が管理棟を占拠する間、トオルと仲間達の指示で、ヒナは装置から離れた政府の建物にも炎を飛ばす。炎は這うように人を呑み込んだ。
逃げ惑う人の中に、研究室から逃れてきたサルファもいた。まとわりつく炎に包まれたまま、床を這い、苦悶の表情を浮かべながらトオルに手を伸ばしてきた。
「た……助けてくれ……」
 息も絶え絶えなサルファの悲痛な叫びに、トオルは無言だった。重度の火傷を負っている。もう助かるまい。
「命……だけは、助け、くれ……」
(すまん。それは出来ない)
 武器を開発してもらった。作戦を煉り、酒を酌み交わすこともあった。気は合わずとも昔の仲間だった。しかし、差し伸べる手を取れはしなかった。希望は与えられず、苦しみから解放してやることしかできない。
「お前にも世話になった。もう……休め」
 サルファの目が見開かれた。トオルはサルファに刀を突き立て、息の根を止めた。その様子を、ヒナは目を細め、淋しげに眺めていた。
 ありとあらゆる物が紅蓮の炎に包まれた。モノと共に人も炎に包まれた。トオルは恐怖を感じなかった。ヒナを美しいと、ただ美しいと思った。
「――炎の、乙女」
 ずっと二人に付き従ってきたシンが、厳かな面持ちで呟いた。
「なんのことだ?」
「首都で聞いたんです。『この悪しき世界を焼き尽くすために、舞い降りた美しい炎の精霊がいる』って。他の国から来た人が見たって噂を――」
「まるで、お伽話だな」
 笑おうとしたが、笑えなかった。ここまで噂になっている。北の大地は黒く焼けている。そしてここに翼を持った娘がいる。末期の世界だ……何があってもおかしくない。
「水を操ったり、大地を動かす精霊もいるとか。……でも、炎の精霊に翼があるって話は聞きませんでした。だから違うのかな。ヒナさんは……天使みたいだから」
 トオルは思った。彼女の炎になら、焼かれてもいいと――。
 ヒナは高い塀を飛んでトオルを運んだ。幾人かの動けない仲間達も、羽根が落ちる翼で羽ばたいて運んだ。彼女はあのぼろぼろの翼で、どれだけ飛んだのだろう……。
 地に落ちた白い羽根。土に穢れた白い羽根。
 彼女は……ヒナは、まだ空を飛べるのだろうか……。
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● COMMENT ●

お手紙届きました(^艸^)♪

ありがとうございます♪
思いがけないプレゼントにビックリです!!
とっても綺麗な色で描かれていて♪
結衣さんって水の中って得意なのでしょうか♪
色鉛筆画だとまた別な雰囲気で、とても斬新で、見事なくらい1つのイラストとして仕上がってます♪
サインも凝っておられて…明日早速、額を買って来なきゃです(^艸^)
紙質もケント紙なの?
これなら私の色鉛筆だって…!いや、水彩色鉛筆がいけないのかな?
暑くなったらまた暑中見舞いなんか贈らせていただければなって思います(^ヮ^)
結衣さん、本当にありがとうございました♪
私のブログで公開しちゃいたいくらいですが、せっかくですので私のPCの隣に大切に飾らせて頂きたいと思います(^艸^)

freilさん

無事に届いたようで良かったです(*´ω`*)
年賀状のお返事が今頃になってしまって・・・スミマセン(;'∀')
季節的になんて書いていいのかわからずイラストのみになってしまいました(;´∀`)

水彩色鉛筆は使えないので色鉛筆のみしか使わないのですが、青系が使いやすいんです。
だから絵が青っぽくなってしまうんですw
サインは友人に消しゴムハンコで作ってもらったんです。友人のデザインです(*´ω`*)
「結衣?え?何の名前?」って言われたことも懐かしい思い出www
公開しても大丈夫ですが、今回は急いだせいもあり、もっと描きこみたかったです(>_<)次はもっと・・・!


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