【白い思い出と紅い約束】一二、逃亡(4)【小説】

2015.02.27 22:00|【約束】小説
「白い思い出と紅い約束」

一二、逃亡(4)


 町の物陰から、船着場の様子を窺う二人。警備は堅い。船に忍び込むことは難しそうだった。
「先輩!」
 後ろから声を掛けられる。
「シン?」
 驚くトオルと微笑むヒナ。眼鏡に帽子で変装をしたシンがいたのだ。少し離れた場所に若者がもう一人。違う部隊の後輩で、笑顔で二人に頭を下げた。
「無事だったか?」
「はい! これから政府と交渉するために籠城します」
 息を弾ませながら明るく言うシンに、トオルが言葉を失った。
「先輩に渡したいものがあって、来たんです」
「お前……これ!」
 トオルの手に何かを握らせた。次の定期船のチケットが、二枚。彼と、その仲間が帰るために使うチケットのはず……。
「これもです。他の先輩たちから、預かってきました。変装用の服です。二人で……二人で無事にちゃんと帰ってください!」
 ヒナに押しつけるように布の袋を渡した。驚きつつもヒナは服を受け取った。シンはトオルに、そしてヒナに笑顔を向けた。ヒナは涙ぐんでいた。
「シンたちのチケットだろう? お前は……お前たちはどうするつもりなんだ?」
「仲間と何とかします! だから大丈夫です!」
 それでは、と軽く頭を下げてシンは路地裏に姿を消した。
「……シン」
 トオルは握りしめたチケットを見つめた。後輩達は、逞しく強かに成長していた。それは嬉しくもあり、悲しくもあった。
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