【白い思い出と紅い約束】一三、おかえり(3)【小説】

2015.03.08 22:00|【約束】小説
「白い思い出と紅い約束」

一三、おかえり(3)


 沈黙したまま時が過ぎた。沈黙を破ったのはマリだった。息を大きく吐き、顔を上げ、ヒナの両腕を優しく掴んだ。
「ヒナはヒナ。翼がなくてもヒナはヒナ。それでいいの! 役立たずじゃないんだからね! ヒナは先輩の恋人! それだけでいーの! わかった?」
 涙を流しながらヒナは何度も頷いた。
「泣くんじゃないの! もーぉ、ヒナは」
 マリの愛情溢れる言葉が、ヒナには嬉しかった。「あ、忘れてた」とマリは何歩か下がり、二人に向き合う。そして、微笑みながら頭を下げた。
「先輩、ヒナ……お帰りなさい!」


 トオルはヒナを連れて、今回の件の指揮を執っていた上官に面会する。
 ソファーに座り、トオルは淡々と今までの経緯を語った。上官は黙って話を聞いてくれた。その二人の様子をヒナはトオルの横で黙って見ていた。
「そうか……翼ある者は、翼を落としたというわけか」
「申し訳ありません」
 上官はトオルを見つめた。その目は穏やかだ。
「たとえ、彼女に力があったとしても、もうこの世界は変わらないだろう。彼女によって変わったのはトオルなのかもしれないな」
 上官は穏やかな表情を浮かべていた。返答に窮するトオルからヒナに視線を移した。
「ヒナくんは、何よりもトオルが大事だったのだね」
 ヒナは笑顔で頷いた。
「トオル、しばらく休みなさい。君たちの働きで電気が通った。この冬は越せる。ありがとう。トオルはヒナくんの傍に、ヒナくんはトオルの傍にいるといい」
 トオルは立ち上がり深々と頭を下げた。トオルを見上げ、真似をしようとヒナも慌てて立ち上がろうとした。しかし、ぐらりとその体が重心を失った。
「ヒナ!」
 トオルが倒れ掛かったヒナを抱きとめると、ヒナは弱々しく笑おうとした。しかし、そのまま気を失った。
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コメント

ヒナちゃんには言われたい言葉だったでしょうね
ヒナはヒナって...

上官が話がわかって優しい?感じでよかった
これでもしきついこと言われたら
変わった今のトオルだと凹むかもしれなかった

イラストでみると両方とも表情から
悲痛な感じが出てますよね
トオルなんかは好きな人の言ってみれば体の一部を取るっていうんだから想像以上だったろうな

荒ぶるプリンさん

コメントありがとうございます(*´ω`*)

上官は優しいいい人です。いいおじさまですw
いい人、使いにくい人ほど首都から飛ばされているので・・・トオルは例外ですが・・・。
サトルは・・・www

今までだったらどんなことを言われても無表情で、顔赤くすることもなかったので、
上官もトオルが変わったなって気づいたと思います(*´ω`*)

イラストはいろいろとレイヤーかぶせてしまってわかりにくいですが
ヒナはちょっとだけ口元笑っています。
彼女は仕方ないこと、って割り切っているのですが、トオルはそうは思えず・・・。
失ったのはヒナの翼だけではなかったんですよね。
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