topimage

2017-04

【Cry*6】2-2、祖母の形見 - 2017.01.21 Sat

「思い出語り」


にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
にほんブログ村 イラストブログ オリキャライラストへ




2-2、祖母の形見

 夕食を済ませ、宿の部屋へと戻った二人は、鞄から箱を取り出す。それはリルの祖母の部屋にあったものだ。
 落ち着いてから確認しようと、箱はそのまま持ってきていた。艶がある冷たい感触の箱は繋ぎ目も無く、開ける細工もない。銀色の文字が刻んであるが、魔力を込めた文字らしく、ルアトには読めなかった。リルは眉間に皺をよせた。
「親愛なる……、何だろう。わからない。読めない」
「魔力で読める文字なんだよね?」
 そのはずなんだけれど、とリルが俯く。
「この文字は今まで見たことないの。何なんだろう、これ……」
「その、宮廷魔術師のウルリーカさんって人に見てもらったらいいんじゃないかな? 手紙を見たわけだし」
 ルアトの問いにリルは頷いた。
「私がお城の偉い魔術師さんに会えるのかな……」
 箱を抱えたままベッドに倒れ込み、リルはベッドを転がる。
「リルのお祖母さんってすごい人なんだね」
「どうなのかな。怖いけど、優しい人だったな」
 ベッドに寝転がったまま、懐かしそうに祖母の話をするリル。血は繋がらずともリルを娘、孫として育て、心配し、厳しく教育してくれたベアトリス。
 皆から頼られる存在だったという。有事には村人が相談に訪れ、魔術を使ったこともあった。祖母は村人との仲も良好だったらしい。何故こうなったのか。リルは自分のせいだと肩を落とした。
 老いた魔術師と、幼い魔術を齧っただけの娘。その違いが生み出した亀裂なのだろう。ルアトはただ首を振ることしか出来なかった。
「ねぇ、リル。今日はさ、ゆっくり寝てよ」
 荷を解き、中から寝間着を出すリルにルアトが声を掛けた。お互い背を向けて着替えをする、というのも慣れてしまった。――慣れていいものかと思うのだが。
「君の手が心配だから。寝る前に少しだけ手に魔力を送っておくね。額の傷は治ってきたけど、腕の傷がしっかりと塞がらないのが心配だよ」
 ベッドに座ったルアトの手をそっと握るリル。額の包帯は取っていた。
「こんなことばかりで、体、大丈夫?」
「うん。村にいた時よりも元気」
 口元をほころばせ、笑顔で即答したリルは、ルアトの横に腰掛けた。
 最初は俺の傍に座ろうとしなかったっけ、とルアトは横に座る娘を見た。
「いつもふらふらで帰ってきていたでしょ。あの時は、ルアトが……私を家に運んでくれたんだよね」
「運んだのは一度だけだったけど、いつも辛そうだった。――昔から、あんなに苦しんでいたの?」
「たまに、だよ。気付くとね、家の前で目を覚ますこともあったんだ。皆、私のこと触りたくなかったから。仕方ないよね」
 視線を落とし、淋しそうに笑うリルに、ルアトはただ頭を振った。
 そんなことはない、と抱きしめた方が良かったかもしれないと、大分経ってから思った。
スポンサーサイト

● COMMENT ●

>大分経ってから思った。

似てる、自分にww
可笑しくなった、いつもそう、後で気が付く。

いつもポチ逃げですいません
訪問ありがとうございます。
応援して帰ります。
ヽ(≧▽≦)/ポチ☆彡全部

実は、私も小説を、書いています。
でも、最初だけ書いて、ストップ。
最後の結論を決めないで、途中も毛目内で書いたので・・。
それも、2編もあります。ブログの中にしまったままですww
①漫画とらドラみたいな 主人公と男子生徒の学園ドラマ?ww
②日本と海外の女性とのラブ物語。です・・ww

雫さん

コメントありがとうございます。
いつもお返事遅くなってごめんなさいm(__)m

大分経ってから思った、という言葉は入れるか削るか
ずっと悩んでいましたが、必要な言葉かな……と判断して残しました。
たぶんこれ、きっとこれ。

小説は最後まで決めて書かないとダメですね( ̄▽ ̄;)
今回はこんな話ですが大雑把にプロットを作っています。
それでもうまくいかないです……(;´д`)

>大雑把にプロットを作っています。

偉い!確か、他の小説家もそうされていたと思います。
でないと、途中から横のズレたりとかしますからね。
最後まで、書けたら読んで欲しいですね。

いつもポチ逃げですいません
いつも訪問ありがとうございます。
応援して帰ります。ヽ(≧▽≦)/ポチ☆彡全部

雫さん

いつもありがとうございます。

プロットは大雑把じゃだめらしいです(;'∀')
もっと緻密な計算をして組み立てないと駄目ですね。
こんなに文章量が偏ってはいけないんだなと思います(;'∀')
物語を始めたらとりあえず終わるまで書かないといかんと思ってるので前進あるのみです……(;´Д`)


管理者にだけ表示を許可する

【雑記】「ちょっと まずい」 «  | BLOG TOP |  » 【Cry*6】2-1、ふたり旅

プロフィール

清水結衣

Author:清水結衣
いつもご訪問いただきありがとうございます。

オリジナル中心でお絵かき。たまに版権絵。
そしてぼちぼち文章を。
プロフ画は野分シムロさんに描いていただきました
(*´ω`*)

にほんブログ村 イラストブログへ
にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ


ブロとも&リンク募集中です♪

最新記事

カテゴリ

【イラスト】 (94)
【らくがき】 (38)
【Cry*6】 (56)
【Cry*6小説】序章 (1)
【Cry*6小説】第1章 (8)
【Cry*6小説】第2章 (8)
【Cry*6小説】間章 (1)
【Cry*6小説】第3章 (6)
【Cry*6小説】第4章 (0)
【Cry*6】登場人物 (5)
【Cry*6】イラスト (27)
【白い思い出と紅い約束】 (103)
【約束】小説 (58)
【約束】登場人物 (4)
【約束】イラスト (39)
【過去イラスト】 (15)
【イラスト途中】 (65)
【バトン】 (2)
【フィギュア関連】 (9)
【日々の出来事】 (47)
【頂き物イラスト】 (9)
【1周年企画】 (9)
【2周年企画】 (11)
【4周年企画】 (4)
【捧げ絵】 (5)
【お知らせ】 (12)
【ごあいさつ】 (1)
【Cry*6】第五章・巫女との出逢いの章 (0)

月別アーカイブ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンター

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
ブログ
1396位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
イラストブログ
63位
アクセスランキングを見る>>

ブログ村