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2017-05

【Cry*6】3-1、隻眼の騎士 - 2017.03.16 Thu

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3-1、隻眼の騎士

 クレプスクロム王国の北部、アウローラ国との国境近く。王国の騎士数名が目的の村に辿り着いた。
 魔術師が出没する場所に近い、偵察隊を派遣した村だった。遠目では村は何事もないかのように見えたが、村に近付くにつれて風は淀み、焦げた臭いが流れてきた。村に足を踏み入れると、眼前に広がる光景は地獄の有様だった。
 家屋は燃えてこそいないが、所々が黒く焦げており、その近くに焼かれて炭化した人間が転がっていた。焦げ跡は飛び散るように広がっている。その先に、転々と事切れた村人たちが倒れていた。
「これはひどいな……」
 馬に乗ったまま、先頭を歩む金髪の騎士は、目の前の惨状に苦い顔をする。切れ長の目、鋭い眼光を湛えた深い青色の瞳は一つ。左眼は眼帯で隠れていた。
「生存者は……絶望的ですが……探してみます」
 年若い騎士が仲間と共に馬の手綱を引いて走り出した。
 部下が散った後、隻眼の騎士は馬を降りた。鎖帷子の、金属の擦れる音が妙に響く気がした。
 彼は近くに倒れた村人の亡骸の前に屈み、静かに黙とうを捧げた。光の魔術師が出没するという話は出ていたが、まさか村を襲うとは思っていなかった。ここを狙ったとて彼らの徳にはならないだろう。
(何の目的があったんだ。見せしめか? 一体誰に対して……?)
 彼は考える。何かが引っ掛かり、腑に落ちなかった。
「カイト様!」
 部下に名を呼ばれて、隻眼の男――カイト――は立ち上がった。部下が待つ場所まで歩く。大木のもとに男が倒れていた。
「隊長を、見つけました」
 カイトは隊長の亡骸を見た。他の遺体と同じく、死後数日が経っている様だった。部下とともに遺体を仰向けにする。
「フィブラがないな。落としたのか? 奪われたのか?」
「どうなんでしょうね……奪っても使い道も思い浮かばないのですが」
「だな……」
「……ですね」
 部下の騎士も違和感を感じたのだろうか。辺りを見回し、首を捻っている。
 今まで光の魔術師のやり方と違う。立ち上がったカイトの目に入ったもの。カイトの疑問が確信に変わった。


 穏やかな陽差しが降り注ぐ中、三人はゆったりと歩いていた。
「なんだろう、肩がヒリヒリするの」
 レイリアが肩をさする。白い肌がほんのり赤くなっていた。
「日焼けしちゃったんだね」
「日焼け?」
 口を尖らせてレイリアが首を傾げる。
「陽射しで肌が焼けたんだよ。ほら私の上着羽織って、肌を隠した方がいいよ」
「えー。リルは露出しなさすぎなの! ルアトがっかりしちゃうよねぇ?」
「いや、そんなことは……」
 ルアトが返事に困っているうちに、クスクス笑いながらレイリアがリルから逃げる。
「旅では安全が一番でしょ? ほら、レイリア、日焼けの痕がつく前に着なさい」
 自棄になってリルが上着を羽織らせようとし、笑いながらレイリアが逃げ回る。
 ……その結果、足のまめをつぶしたレイリアは歩けなくなり、ルアトに背負ってもらうことになる。
「ルアトありがと」
 初めておんぶしてもらったと、ルアトの背にしがみつきながらレイリアは楽しそうに足をぶらぶらさせる。
「その足じゃ痛いもんね」
 ルアトが、背のレイリアに声を掛けた。ルアトに笑顔を向けたレイリアが、はっとして、後ろを振り向いた。
「ごめんね、リル」
 ルアトの荷物を持ち、二人の後ろを歩いていたリルは吃驚して顔を上げる。自分を見つめるレイリアの申し訳なさそうな顔。その時初めて、自分がしかめっ面をして歩いていることに気付いた。どうしてそんな表情になるのか、リル自身が気付いていなかった。
「何で私に謝るの……」
「ん? どうしたの?」
 ルアトが振り返ると、リルは慌ててフードを被って顔を隠した。

 休憩を何度か挟み、街道を歩いていると、後方から音が響いてきた。それは地面を伝わって響いている。
「地鳴り?」
 制止し、地面を見る三人。埃まみれのブーツと、包帯が巻かれた素足にサンダルが目に入る。
「じ、地震?」
「揺れてはいないよね」
「もしかして、馬の蹄の音じゃない?」
 しぶしぶ上着を羽織ったレイリアが今来た道を見やった。音は徐々に近付いてくる。今来た道の遠くから黒いものが見えてきた。
「見えてきた……」
 それは馬に跨がり、武装した男たちだった。
 状況が掴めない三人がおたおたしている間に、彼らに囲まれてしまった。鎖帷子を身に纏い、マントを風に靡かせている。腰には剣。後から一台の荷馬車が追ってくる。
 湖の神殿で会った魔術師の仲間が追って来たのかと思い、リルは慌てて杖を握り、ルアトは腰に下げた短剣の柄を探す。
「どうしよう、どうしよう……!」
 気が動転し慌てる二人に対して、レイリアだけが笑顔だった。
「大丈夫! 騎士団よ。王様の騎士団」
 長衣の胸元の紋章を見つけたレイリアが、片足を後ろに引きながら、ないドレスの裾をつまむような仕草をして挨拶をした。その様子に騎士たちが戸惑う。
「王様の騎士団?」
「そうだ。我らはクレプスクロム王国、飄風(ひょうふう)の騎士団だ」
 一人の騎士が前に出て馬から降りた。左目に眼帯をした、金色の髪の、長身の騎士だった。リルはルアトの背に隠れた。
「驚かしてすまない。お前たちを探してきたんだ」
「探して……?」
 笑顔のままレイリアが首を傾げる。ルアトが体を固くし後退りした。ルアトの背に張り付いたリルとぶつかってしまう。
「まぁ立ち話も何だから、休むとしよう」
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>お前たちを探してきたんだ

誰か、個人ではなく、お前たちとは?
対決をさせると言うのだろうか?

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雫さん

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